やっても無駄かもしれない為替介入だが…

 昨日政府・日銀がとうとうと言おうか、04年3月16日以来ジャスト6年6ヵ月ぶりに外為市場で2兆円規模という円売り・ドル買いの為替介入を行なった。目下のところ自国通貨安がウレシイという欧米等の諸外国が協調介入で応援するはずもない単独介入……いや、ここまで来ると「孤独介入」か(?)、にもかかわらず昨日は介入直前に瞬間1ドル82円台に乗せた円が2円以上も急落し85円台後半、あわや86円割れかという水準にまで円安に反転した。
 先月8月18日の当ブログでも当日の日経朝刊「外為特会、03〜04年の介入以降の円高で10兆円もの為替差損」という記事を引き合いに、「そういうのもあって単独介入はムダ」と断じたが、残念ながらそれをも通り越して「愚の骨頂」かもしれない。
 確かに、とりわけ昨今の円買いの集中砲火という「イジメ」に対して、いじめられっこ自ら「もうやめてくれ!」とたとえ悲鳴でもいい何らかの意思表示はとても大切だ。黙って耐えていたら更にエスカレートするのは学校等の子供の世界でも同じ現象だ。しかもわが国の通貨当局はただ単に介入するのみならず、更なる工夫を試みていたのは僕も目を見張った……今まで聞いたこともなかった「介入の非不胎化」というダメ押し的手法だ。円売り介入後市場に「散乱」した円資金を吸収し「後片付け」するのを「不胎化」と言うが、それをせずに放ったらかしにすることで金利低下を促し円価値も下げる効果を狙う。そしてその効果が今日も持続しているのか、この文を綴っている現在も1ドル85円60銭台で推移している。昨今の円高を演出してきたであろう投機筋も、今はちょっと動けないでいるか。
 しかし今回の円独歩高局面は欧米の景気底割れ懸念なりギリシャ等の財政危機問題が背景にあり、欧米もそれをいい口実に輸出ドライブのためにドルやユーロ等の通貨安を嬉しがっている有様と言える。日本が介入に使える原資はあと35兆円だか何だかと言われているが、一方で将来70円台にまで突き進むのは不可避との認識に立って、8月18日に言ったように円高基調を逆手に取る何らかの施策・方策を探る必要もある。折も折、今日の日経産業新聞最終20面の小コラム「眼光紙背」はまさにそのことについて触れられている。