職場恋愛断念の後日談(4)…あまりにも少な過ぎた彼女との接点その2

 そして「先輩彼女」を意識するようになったのは、明けて91年、ある意味運命の年(!!)の春頃だ。その頃彼女にどういう心境の変化があったのか、今となってはもちろん在職中も分からなかったが、髪形を変えてきたのだ。ショート系は変わらないが、パーマがかったのをやめストレート系にした(ように見えた)のだ。「先輩…かわいいなぁ〜」と、これだけで僕はとうとう参ってしまった(!!)。キャリアウーマン風からのイメチェンで、最早(数年ほどの…?)会社と人生の先輩としてだけの存在としては、彼女を見られなくなっていった。これほどかわいいヒトとは!…昨年のクリスマス時点では夢にも思わなかったという「変動幅」が激しかった(!)。
 そして遂に7月。まず今で言う海の日に当たる20日頃、職場有志で1泊2日で京都若狭に海水浴に向かった。僕は所有しておらず(今も免許すら…)、有志の所有する自家用車数台に分乗したが、あいにく彼女とは1度も同乗させてもらえなかった。それでもまさに天にも昇る気持ちとはこのこと(!?)。だから砂浜で彼女と話した時は、照れ隠しで敢えてこんな風に思いっきり脱線しまくった。しかしチャンと「復旧」は忘れなかった。
 「山川さんは星座は何座なんですか?」「銀座です…ギョウザだったかなァ〜?」「(苦笑しながらも)……??(もぅ〜マジメに訊いてるのにィ〜!)」ちょっとムッとされた感じがあったのを見たので(!?)即“本題”に戻って「あ、魚座です」
 「血液型は?」「新潟です」「……??(もう〜またぁ!?いい加減にしてよ!)」「いやだからB型ですよ。まさか新潟って聞こえたんですか…?」「(もお〜イジワルっ!)」
 今で言うオヤジ爆発で恥ずかしい限りであった(!?)。しかしあとどんな話をしたかは忘れた。いつか「僕ならではの話」をしようと思ったが、なかなか切り出せずいて結局諦めた。やはり「92年2月」まで取っておく運命だったようだ(!?)。
 晩になって次はみんなでイイ歳して線香花火を楽しんだが(!?)、その時は彼女と花火の点火し合い…つまり先に僕がつけた花火に彼女の持つ未点火のを点ける…そしてその反対…といったドラマ・漫画でありがちなワンシーンを演じていた(!!)。ただ不思議だったのは、その時に限ってとりわけバカヤロー共の「よおっ、ご両人!」「ただでさえ暑いのにお熱いねぇ〜!?」何ていう(??)冷やかし等の囃し立てが全くなかったことだ。おそらく僕らのそんなシーンを見て、「みんなエエな?ふたりをそっとしといたれや!絶対邪魔したらアカンで!」と密かに気遣ってくれたんだろうが、それでいて先日既述したこの秋の飲み会でのあの一件である…「下手の考え休むに似たり」と言うが、最早「バカの考え休むに似たり」…などと言うどころではなく、まったくもってミステリー、いや、不可解極まりない。
 そして翌日、昼ゴハンで寄ったドライブインの土産物店で、あるファーストネーム入りのキーホルダーを、さも自分の土産であるかのように装って買った。そしてそこでの記念撮影直後、各々自分の分乗する車に向かう一瞬の時を捉えて彼女に…!
 「やっとあなたにあげたいプレゼントが見つかった。はい、これ僕からです。ぜひ受け取って下さい」
 そう言って差し出した。思った通り彼女は遠慮していたが、“よし、ここでもう一押し!”とこう続けてやっと受け取ってもらえた。
 「僕は今独り暮らしで、こういったところへ来ても、おみやげを買う甲斐があまりないんです。僕自身は別にいらないし、かといって何も買わないというのも味気ないし……だからあなたにうけとってほしいんです、ぜひ……」
 ここでファーストアプローチしなければ、絶対後悔する!……そう思った。それに、これは僕の思い過ごしかもしれないが、昨年来、そして昨日今日の彼女のシグナルを全て受け取ったつもりだった。そしてそれまで職場内では周囲の目もあって、なかなかこういったことに踏み切るどころか、話すらそうおいそれとできなかった、そのせめてもの突破口になればとの思いも込めたつもりだった。