失業対策は失業者側の反省も必要。

 今日の日経朝刊5面(経済2)トップに、景気低迷による長期失業者の割合がまた徐々に増えこそすれ一向に減らないといった記事が、過去8年の失業期間別棒グラフ付きで出ていた。しかし記事の末尾で、日本でのこういった対策には「北欧のデンマークスウェーデン並みの労働市場の整備が必要」としていたが、つい以前の日経朝刊『経済教室』でも取り上げられていたそのようなことは一朝一夕にはとても無理だ。
 何より、一昨年の「派遣切り」流行時に一部右寄りの論調に見られたが、やはり失業する側、なかんずく主に非正規側にも問題がある気がしてならない。果たして今までの人生行路の反省をキチンと踏まえて世論に訴えかけているのかどうか、ハッキリしないのだ。単に自分のことを棚に上げて真っ先に政官財のせい、他人のせいにするのは子供でしかなく論外の極致、反省して欲しい点として大きく2つあると思う。
 一つは、幼少の頃なり若い頃からの夢や目標を持って、周囲が何と言おうとその実現に邁進してきたのかどうか。単に家族に反対とまでいかなくともちょっと茶化されたからとか、学校等で友達をなくしかねなかったからとか、そんな程度の理由で(もっとも理由になってないが…)あっさり自分の意思とは無関係に進む道を変えたのなら、現状はまさに自業自得ではないか。
 僕の場合は40年来の「鉄男」で、家族に茶化されようと友達をなくすばかりかイジメにまであおうと、念願叶わず鉄道会社に就職できなかろうと、とにかくその周辺の仕事がしたいと思い続けて今の鉄道車両機器メーカーの仕事があると思っている。夢はそう簡単に叶わないが、挫折しかかった時に踏ん張れるかどうかで叶う叶わないがあるんじゃないか。そういうための、次にいう自己研鑽でもある。
 もう一つは、仮に夢や目標が特になかったとしても(寂しすぎるが……)絶えず自己研鑽を怠らなかったか、自分の心身の向上に努めてきたのかどうか。資格や技能を身につけないまでも、とりわけ読書習慣がない、ウチで新聞を取っていないばかりか折角図書館や喫茶店等に備え付けの「読むだけなら無料」の新聞・雑誌を手に取りもしない、そんな体たらくを棚に上げて嘆いてはいないか。製造業でも特に自動車関連の派遣切りが群を抜いていたが、TVで見た「自動車が好きだった」と言っていた人に訊きたいのは、それは前述の「夢や目標」なので分かるものの果たして新聞・雑誌・TVニュース等で業界の動向や、それを左右する政治・経済・国際等の情勢を毎日自分なりに「点検」していたのかどうか。それを怠り、仕事後や休日に毎日毎週のようにフラフラ遊びまわり飲みまわり、という有様だったら、それもそれで自業自得だ。
 大体、以前見た派遣切りドキュメントに出てきた面々は明らかに、ほぼ間違いなく新聞を読まない、読書習慣もないといった風情だった。中でも兵庫県加古川の方であったドキュメントで「労働者派遣法なんて学校で習えへんやん!」との逆ギレは流石に馬鹿げた論外で、「学校で習わんでも新聞に載るじゃろ!」とどれだけツッコミを入れたかったか(!?)。ただ因みにその家庭での購読紙は茶の間の様子がチラッと見えた(!?)神戸新聞という地方紙で、同紙には非常に申し訳ないが新聞は新聞でも「派遣切り」だの「派遣法」だのといった場合にはやはり全国紙、とりわけ朝日・毎日がしっかりしていると思う。
 余談だが、やはりどうも近年の活字離れによる新聞・雑誌・書籍の発行部数減は、ネットの台頭はさることながらそういったこととも無縁ではなさそうで、ならば新聞・出版社等は様々な改革こそ怠れないものの、さりとて文字通りそう「落ち込む」必要もなさそうだ。
 僕の場合……もう言うまでもなかろう!強いて言えば、派遣切り流行前の確か一昨年10月頃、つまりリーマンショックの1ヵ月後頃のある日の日経産業新聞(人材・サービス面)だかに、規模の大小を問わず企業の人材余剰感が高まってきているという記事が、詳細な統計数値と共に出ていた。今思えば「あれが全ての伏線か!?」と印象に残っていて仕方がない。