新聞は余程の体験と読書習慣がなければ読むまい。

 今日訪れた地元図書館に備え付けの今日付主要紙で、時間内に手にできたのは読売と産経、東京だけ、しかも3紙共やっとこさだった。一方、毎日はもとより、ウチでとっていて別段閲覧不要な朝日と日経本紙も先客に取られていて、帰るまでに遂に棚に返されているのを見ることはなかった。毎日が館内で人気なのは皮肉な現象で、つまりウチでとっていない人が多い裏返し、僕の朝日・日経と同様、ウチでとっていて館内でも読む必要は殆どない筈だからだ。
 そんな中、東京新聞の中のほうに組まれてあった「新聞週間特集」の3人の芸能人インタビューを読んだが、あまり参考になる点はなかった。特に小泉今日子は「転居前に2紙を読んでいた」と殊勝なことを語っていたが、新聞を読み始めようと思っている人へのアドバイスとして「夕刊から読み始めればいい」というのは詭弁に匹敵する相当な疑問だ。
 「じゃあ関東以北で夕刊のない産経や、もともと夕刊のない、あるいは最近夕刊を廃止した地方紙、更には大都市圏では朝夕刊セットであっても地方では夕刊が届かない、朝夕刊合版の朝刊である他の全国紙は一体どうすればいい!? つまり事実上朝刊しかない地域・新聞は一体……ということ」
 僕が玄人過ぎるのだろう(!?)。あと夕刊となると夕刊フジ日刊ゲンダイ東京スポーツ等になるが、何れも女性向けではあるまい。所詮キョンキョンと新聞談義にならないのは、どう考えても僕が20歳前後の時に2年半ばかり駅売店で新聞・雑誌販売のバイトの経験があるのと、平行して読書の習慣、なかんずく杉山隆男さんの『メディアの興亡』(文藝春秋刊)やその参考文献でもある朝日・読売・日経の社史をも入手して研究を進めてしまった(!?)からだ。
 それに新聞は社会・スポーツ・家庭面やテレビ・投書欄ならまだしも、総合・政治・経済・国際面などは誰しもどんな学歴だろうとどんな勉強をしてこようと、日経は半年、その他セット紙も3ヵ月程度、読み慣れるのに時間がかかるという。僕とてその通り日経も朝日等もそれだけかかった。
 まあ、イマドキの「無新聞党」を翻心させるにはそういったことと似た経験が必要なのだろう。