労働者派遣法改正案の動向について。

 今日の日経朝刊社会面(42面)に、先週は先送りされ今週にも閣議決定される(筈の!?)「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」通称労働者派遣法の今国会での改正にまつわり、労働者側の動向が活発化している旨の記事が出ていた。
 派遣労働の是非は非常に難しい。ただ、リーマン・ショック後の派遣切りラッシュの最中、ここ数年の議論で抜け落ちている大事な点がある。職業安定法、なかんずくその44条の存在意義だ。
 何人も45条で定める場合のほかは労働者供給事業を行ってはならないと定められている44条は、かつて第2次大戦前後か、それこそ小林多喜二の『蟹工船』まがいのことをされた反省・教訓から生まれた条文である筈だ。その後の戦後復興、高度経済成長を経て、どうやら73年の第1次オイルショックを契機に事情が変わったらしい。そして85年に労働者派遣法が制定、同時に職安法のその部分を、悪く言うといじられたと見るのは間違いだろうか。

 とにかく、今一度まず職安法ありき、その後に派遣法の議論をすべきで、職安法のないがしろは結局堂々巡りの言葉の遊戯的議論の域を出ず、全くの時間のムダ!再発防止も覚束ない。