「旧新日鉄主導」の中計なのか注目だ。

 今日の朝日朝刊8面(経済)トップ、読売朝刊10面(経済)、日経朝刊1面と13面(企業1)トップ、日経産業新聞1面「News Focus」……つまりとってないのも含め主だった朝刊全紙か、新日鉄住金が15年度からの3年間にわたる中期経営計画を発表したと出ていた。しかし例によってと言おうか、読売だけはベタ同然の扱いだったので、以下は日経本紙&日経産業&朝日を替わりベンタン片手に(?)綴る。

 僕的に見たところ……というか日経13面に出ていたが(?)、計画の骨子は次の4点に集約される。
 「八幡製鉄所の高炉1基休止」
 「R&D(研究開発)費を1割増」
 「国内設備投資額1000億上積み」
 「従業員採用数を中計の期間中、年間1300人とする」

 休止する高炉1基は北九州にある八幡の小倉地区で、18年度をメド。来年度に休止する君津1基もあり、これで国内高炉は12基になる。ただ、休止の2基が占める粗鋼生産量は全体の3%弱に過ぎないといい、延べ5000万トンの生産量は維持する。そして人員は他部門への転属等で対応する。

 R&Dは、1割増で高級鋼の開発推進としかなく、詳細はホームページか季刊の広報誌、決算報告書等に当たるしかなさそうだ。

 設投はこれまで年3500億だったものを1000億プラスする。コークス炉が稼働から40年を経過し生産性が低下しているといい、多分に陳腐化か老朽化か、更新の投資だという。

 従業員の採用は、新卒ばかりなのか中途も含むのかまでハッキリしないが、70年代に大量採用した面々が定年を迎えるので、目下の年700人からほぼ倍増の形になる。世代の断絶を防ぐためのようで、当然の人事施策だろう。

 あと、中計に合わせてかどうかも定かではないが、旧住金の最後の社長にして新日鉄住金初代社長でもあった友野宏副会長が、4月一日付で取締役相談役に退くトップ人事もだという。

 おおよそ4点の骨子はどれも納得ずくで頷け、大いに期待したいところではある。ただ、新たに加わった休止の1基は、もともと1918年に旧住金が発足させた小倉製鉄所だ。また、旧住金出身の友野氏が事実上ボードから外れるようにも見え、宗岡会長−進藤社長のラインは実に強力な「旧新日鉄」のラインだ。

 
 もっとも僕的に、決してそれを批判したいわけではない。12年10月一日に合併・発足して早2年半になるし、自他共に認める「事実上の旧新日鉄主導での成長戦略だ」というなら、それでガンガン行ってもらっても、部外者の気安さではないが僕的に大いに構いはしない。

 ただ、旧住金のそれこそトップからペイペイまでの面々が、「旧新日鉄主導でも構わない」と心底納得までしているのかどうか、心配なのはその一点だけだ。もし旧住金サイドが「もう旧新日鉄だの旧住金だの言ってる場合ではない。今や立派な新日鉄住金という一つ屋根の下の会社なんだから、旧社云々の議論やグチは最早詮無いことだ」とでも思ってもらえれば、心配が杞憂に終わり幸いなのだが……