こういう企業を真の「人間企業」というのだ!

 今日の日経産業新聞16面(素材・エネルギー)にベタながら、新日鉄釜石製鉄所の発電設備が復旧、去る1日から再稼動したと出ていた。新日鉄釜石では先の大震災で敷地が一部冠水し発電設備が緊急停止、燃料の石炭や線材の母材を輸送船から荷揚げする設備も損傷を受けた。
 そんな“重傷の治療中”にあっても、発電設備を再稼動させ東北電力へ13万6千kw……岩手県内の一般家庭の延べ4割の使用電力を供給する。そしてあとこれは記事になくて、震災後しばらく経ったある平日朝のNHKニュースで放映していたが、その釜石製鉄所の従業員専用風呂を外部の被災者にも開放したこともあったのだ。
 かつてラグビーのトップとしても君臨し、今は残念ながら後身の「釜石シーウェイブス」として細々と活動している、そういう新日鉄釜石の今の重傷中の身をあえて挺したハートフルな復興支援……これにはさしもの僕も(?)感極まって泣きそうになった。しかしその時出勤前の慌ただしさで涙さえ流す時間すらなく、涙をこらえてウチから最寄り駅まで歩き、涙をこらえて電車に乗ったのだ。もしこれが有休その他の休日だったら、完璧に泣いていたと思う(?)。僕はこれほどまでの企業の株式投資で勝負しようとしていたのかと……
 ともあれ、これが真の「人間企業」なのだ。一方で翻って考えてみるに、僕が大阪時代勤めていた旧松下電器(現パナソニック)は如何に……僕の恋愛を徹底的に邪魔だてしてぶち壊した上会社からも事実上追い立てたり、偽装請負に走ったり、果ては三洋電機との合併を大義名分に国内外で延べ4万人のリストラにまで踏み切るという、もう血も涙もない仕打ちとしか言いようがあるまい。今回の復興支援でも数億円と乾電池何万個程度で、何だか押し付けがましいというか、恩着せがましいというか……どうして新日鉄のような人間らしい支援が全くできないのか!? 百歩譲ってどうせなら、なぜソフトバンク孫正義のように百億ポンとまでいかなかったのか!? こういう企業に、今世紀中に必ず実用化させたいスマートグリッド(次世代送電網)を担わせて構わないのか!?
 危急存亡の時こそ真の人間性が表れるというが、企業だって同じことのようだ。何ゆえ、こうも同じ東証1部上場企業で人間性がピンからキリまで存在するのか!?