職場恋愛断念の後日談(3)…あまりにも少な過ぎた彼女との接点その1

 僕が彼女と初めて話らしい話をしたのは、僕が中途入社した年の90年12月、事業場でのクリスマスパーティーでのことだった。彼女は社歴では多分数年か、歳もそれくらい離れているだろう先輩で、同期の「あの別の」バカヤローに言わせると(!?)安田成美か田中美奈子に似ている。あと今思えば、プラス、30年以上前に出ていた西郷輝彦主演のドラマ『新幹線公安官』(テレ朝系)での、殉職した公安官の妻・未亡人役の篠ひろ子にも見えなくはない(!!)、それほどの美人だった。
 しかし…その時はまだ彼女を全く意識しておらず、まずそれがいけなかったのか(!?)、僕が誰と一緒にいるでなくグラスを傾け独りごちていると、彼女が2名のお局様を従えて(!?)やってきて、のっけからいきなりこう訊いてきたのだ。
 「山川さん、女性に興味はないんですか?」
 もう20年経つ今も強烈な思い出として残っており(!?!?)、いやはやビックリしたというレベルではない。驚天動地…青天の霹靂…「メリークリスマス」の挨拶も抜きに、館内を薄暗くしてやや騒々しいイベント中ながら一応会社内であり、何てヒトだと思った(!?)。TPOを問わず、普通それは女性達に向かって返事のしようがないのだ。少なくとも、別にフェミニストでなくともノーマルな神経の男なら誰しもそうだろう。一歩間違えばセクハラにつながり、別に間違えば気味悪がられかねない……もう「アハハ…いや、まあ、それは、そうですねぇ〜」とか何とか言ったかどうか、とにかく笑ってゴマかすしかなかった(!?)。しかし向こうから先に単刀直入に訊いてきた以上、こちらも単刀直入に「そりゃあ、ありますよ」と言ってやって、但しその話はそこまでにしておくように誘導すれば良かったかもしれない。
 しかし入社して半年…彼女達の僕への印象がどういうものかわかっただけでも収穫だった(!!)。そうなのかねぇ…確かにあんまり彼女達とはさることながら、他の女性社員の方とも世間話程度すら殆どなかったから、それを見てそんなに女性に振り向かない男と思っていたようで、ショックでもあったと思う(!?)。
 だから僕はここぞとばかりに、いや、千載一遇のチャンスとばかりに「思いの丈」(!?)を思いっ切り語った。忘年会の話に始まって、日ごろ見ているTV番組…しかし彼女達から見れば、僕は所詮かつてのキャンディーズの歌ではないが「ただの年下の男の子」(!?)、アルコールが適度に回ったせいにするのは男らしくないものの最初に言ったことは何処へやら、ついこんなことまで言ってしまった。
 「今向こうにいる◯◯さんがタイプです」
 「僕の理想のタイプは、ズバリあまり出しゃばらない年下タイプ。で、結婚年齢は30前後を予定してます」
 にもかかわらずやはり彼女達の方が上手(!)、伊達に先輩・年上・キャリアウーマンじゃなかったか(!?)「待ってました!ガードの固い山川さんやっとホンネ言った……かわいい〜」とでも思ってくれたか(??)、軽く受け流しつつこう訊いてきた。
 「今から恋愛をして、その辺りで結婚、というのは考えていないんですか?」
 「それも一理ありますが、その年代になってからの“運命の出会い”も狙っているんですよ」
 これにも、苦笑交じりだったかもしれないが爆笑を誘ってしまった(!?)。どうも明くる年に僕が「先輩かわいい〜!」と一転意識してしまう、そんな前に既に彼女の方が先に「山川さんって普段ガードが固いけど、一旦外れると……かわいい〜。ちょっとアブナイとこもあるから…何だか守ってあげなくっちゃって…」とでも(!?)思ったかもしれない。ただ彼女がユーミンの歌をよく聞いたり、カラオケで歌ったり、とまでは当時も今も不明である(!?)。
 なお、今頃になって敢えて証言させてもらうと、当時の彼女の印象は、先輩だから当然にしてもいかにもキャリアウーマン風、パ−マがかったショートの髪型が象徴しており……
……ブッチャケまず僕があなたに近寄り難かったです(!?)。でも話し口調がとても優しく女性らしく…何だかかわいかった!というのは良い意味で意外でした(!!)。それが翌年への伏線になろうとは、僕も見当がつかなかったんです……