自給率のベースは「生産額」か「カロリー」か……「消費額」がないのが……

 今日の読売朝刊11面(経済)トップ、日経朝刊5面(経済)に、昨日の農水省によるカロリーベースでの食料自給率の目標引き下げに関する続報が出ていた。朝日はようやく6面に第一報を載せてきたが、ベタだった。

 カロリーベースの自給率は、1人1日当たりの国産の供給カロリー(939cal)を輸入農産物も含めた供給カロリー(2424cal)で割った値で算出する(約38.7%)。とはいうものの、牛や豚、鶏は殆ど輸入飼料が使われ、その分が国産に含めないことや、野菜は低カロリーなので、野菜セクターが全体に反映されにくい、といった仕組みが問題だという。丁度株式市場で言うところの日経平均や単純平均のように、値嵩株が大いに反映される反面、低位株がどんなに暴騰暴落しても、そっちのけにされる場面が多いのに似ているようだ(?)。

 そのせいか世界的には、TOPIXや売買代金、時価総額辺りに相当しようか、生産額ベースが主流だという。それだと昨今低下傾向ながら、65%をキープしている。あと百科事典Webサイト・ウィキペディア「食料自給率」に出ていたが、品目別で分類すると肉類・野菜類が実に8〜9割をマークし、突出しているという。目下交渉中のTPPにおいても、日本以外の参加各国は当然寄ってたかって(?)そこを追及し、関税引き下げひいては市場開放まで迫ってくるわけだ。

 ただ、生産額ベースと言ってもあくまでサプライサイドのみの論理に過ぎず、消費があって初めて完結する以上、デマンドサイドの見方がないのが不思議だ。いくらサプライが豊富でもデマンドが追いついていないなら、追いつかなかった分は非耐久消費財の悲しさで最悪廃棄せざるを得ず、そこで実態からの乖離が生じる。

 とりわけ一般家庭において、「ポイント〇倍セール」等のバーゲンで景気良く爆買いしたはいいが、後日ウッカリ忘れて消費期限切れや腐ったりで最後まで消費できず、泣く泣くゴミ出し直行というのもよくあろう(?)。廃棄物処分場で漁るわけにもいくまいし(?)、その部分はさすがに国といえども把握しようがない。

 生産額なら一般企業で言う売上高なので簡単だが、どう消費されたかの追跡が困難で、算出法がないのかもしれない。