ライツ・イシュー促進への規制緩和。

 今日の日経朝刊1面トップに、金融庁が、上場企業の既存株主に時価以下の価格で株式を買う権利・新株予約権(Rights:ライツ)を付与する増資の新手法(Rights Issue:ライツ・イシュー)の規制緩和に乗り出すため、今度の通常国会金融商品取引法改正案を提出、12年度にも施行する方針という記事が出ていた。英国を中心とした欧州では一般的なこの手法は、日本では昨年5月の東証1部の不動産会社タカラレーベン(8897)1例のみで一般化まではまだまだ遥か彼方という有様だが、昨今東電等の大型増資の度に株価や1株利益の下落といったことで株式価値・株主利益が損なわれるのを改善する切り札として、ようやく重い腰を上げたようだ。増資したい企業側も、開示義務のある目論見書を全株主に配布する等の事務手続き・コストがかかったり、その間のタイムラグで株価変動のリスクもある。
 そこで法改正の骨子はこうなっているという。
 1.目論見書送付に代わって金融庁・電子開示システムに届出書登録し、閲覧できるWebアドレスを新聞等で告知する。後に新情報が出た場合も修正届出書をWebで公開すればいい。 
 2.ライツを取得した株主がその売却を容易にする措置として、証券会社による大量保有報告書の提出(発行済株式数の5%以上を保有時の義務)やTOB手続き(同じく3分の1以上の際の義務)を省く。
 あと平行して法務省も、届出から予約権行使まで2週間以上としている会社法に関して、それを短縮する改正を検討するという。
 ライツ・イシューは増資したい企業が既存株主にライツを無償付与し「増資に応じるか否か」の二者択一を迫るというのか(?)、否ならライツを売却すればいいという自由を得るというのか、ザッとそんな感じだ。昨夏(10年6月8日)、日経産業新聞フォーラム2010のテーマ『エクイティファイナンスの新手法 日本版ライツ・イシューを検証する』を聴講したが、理解できたのはタカラレーベンの事例くらいであとは全体像すら描けずに終わってしまった。しかしその時のTEXTはもちろんまだ手元にあり、いつでも復習できるようにしてある。ただ、ゆくゆく僕がライツ・イシューの対象者になるかのどうか、またそうなったとして果たして権利行使し増資に応じるのか、あっさりライツを売却してしまうのかはもちろん全くの未知数、その時にならないとわからない。